メディカルフィットネスは、一人ひとりの体の状態に合わせた運動指導が求められるパーソナルジムと非常に相性が良いです。この記事では、パーソナルジムがメディカルフィットネスジムにリニューアルする、または新しくメディカルフィットネスジムを開業する際のポイントをご紹介します。

パーソナルトレーニング業界:これからの展望と成長ポテンシャル

出典:スポーツ庁

スポーツ庁が令和5年11月に行った「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、全国の18歳~79歳の男女40,000人を対象にした調査の中で、スポーツの価値として「健康・体力の保持増進」を挙げた方が68.5%に達し、複数選択できる項目の中で最も多かったことが分かりました。

健康の維持・増進に運動が重要だと感じている方は多い一方で、満足のいく運動ができている方は少ないのが現状です。

パーソナルジムを利用する多くの方は、ダイエットや理想の体型づくりを目的としていると思われます。しかし、最近では健康意識の高まりから運動をしたいと考える方が増えています。このため、パーソナルジムが健康維持・増進を目的としたサービスを提供することで、新たな市場を開拓することができるでしょう。

パーソナルジムの強みを最大限に!メディカルフィットネス独自の価値提供

パーソナルジムでは、利用者の目的に合わせたプログラムを組み、マンツーマンでの運動指導を行います。利用者のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 集中しやすい環境: 一対一のトレーニング環境で、集中して運動に取り組むことができます。
  • 包括的な指導: 食事の内容や自宅でのトレーニング方法についても指導を受けやすいです。

このようなパーソナルジムの運動指導は、自分に合った運動方法を詳しく知りたい方や、体を動かしながらアドバイスを受けたい方に非常に適しています。

メディカルフィットネスジムでは、医学的エビデンスに基づいた運動指導を行います。特に運動初心者や体を動かすことに不安を感じている方に対して、個別の運動指導が求められます。こうした点で、パーソナルジムと多くの共通点があります。

パーソナルジムからメディカルフィットネスジムへのリニューアル

既存のパーソナルジムがメディカルフィットネスジムにリニューアルする場合、医学的な裏付けのある運動指導が必要となります。このリニューアルにより、以下のような利点が得られます。

  • 効果的な運動指導: より効果的な運動指導が可能になります。
  • 広範な対応: 疾病を持つ方、体に痛みや不調を感じている方、健康診断の結果を改善したい方など、幅広い利用者に対応できます。

このように、パーソナルジムの強みを活かしながら、利用者の幅を広げることができるでしょう。

メディカルフィットネス化するための医療的要素

既存のパーソナルジムをメディカルフィットネスジムにリニューアルする、または新たにメディカルフィットネスジムをオープンする場合、最初に行うべきはコンセプトの策定です。

たとえば、健康寿命の延伸をコンセプトとするメディカルフィットネスジムでは、ロコモティブシンドロームやフレイル予防のための運動指導に加えて、生活習慣病予防につながる食事指導も行える施設づくりが理想的です。そのためには、運動指導ができるスタッフだけでなく、栄養バランスを考えた食事のアドバイスができる栄養士などのスタッフを配置することが重要です。

コンセプトを明確にすることで、ターゲットとなる利用者や導入する設備の選定が容易になります。メディカルフィットネスジムの運営にあたっては多岐にわたる準備が必要ですが、まずはコンセプトを決めることが最初のステップです。

メディカルフィットネスジムのオープンにあたっては、必須とされる資格や届け出、認定はありませんが、厚生労働大臣認定「健康増進施設」や、厚生労働省指定「指定運動療法施設」の認定を受けることが可能です。2022年4月にはこれらの認定規定が緩和され、標準的な広さや設備を持つパーソナルジムでも認定・指定が取得しやすくなりました。このため、認定や資格の取得をぜひご検討ください。

メディカルフィットネスジムの運営には、認定・指定を取得し、有資格者によるエビデンスに基づいた運動指導を実施する体制が必要です。メディカルフィットネスジムで活かせる主な資格として、厚生労働省医政局が監修する理学療法士、公益財団法人健康・体力づくり事業財団が認定する健康運動指導士や健康運動実践指導者、公益財団法人日本スポーツ協会または特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会が発行するアスレティックトレーナーなどがあります。有資格者の採用や資格取得の準備をする際には、資格がどのような機関・団体から発行されているかを確認することが重要です。歴史と実績のある機関・団体が発行する資格を選ぶことで、有資格者がスキルを発揮しやすい施設づくりのビジョンも描きやすくなります。

有資格者の配置については、新たに有資格者のスタッフを雇用する、既に在籍しているスタッフに資格取得をさせる、自分自身で資格を取得するなど、さまざまな方法があります。どの方法を選ぶにしても、資格の発行団体の歴史と実績に注目することが重要です。

メディカルフィットネスジム成功の鍵:医療連携の戦略的アプローチ

医療と運動が融合したメディカルフィットネスジムでは、地域のクリニックなどの医療機関と提携し、利用者に医療的なサポートを提供できるのが理想です。

どのような医療機関と提携するかは、そのメディカルフィットネスジムのコンセプトや規模によって異なります。たとえば、提携する医療機関の患者に高血圧や糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患などの症状がある場合は、医師が発行した運動処方箋をもとにジムで運動指導を行うような提携が考えられます。スポーツのパフォーマンス向上を目的とする利用者を主なターゲットとする場合は、整形外科やスポーツ医と提携するなど、ジムのコンセプトに合わせて提携先を選ぶことが重要です。また、利用者が持つ日常的な体の痛みや不調に対して、提携医療機関を紹介する仕組みを整えることも大切です。

医療機関との連携は難しいと感じるかもしれませんが、多くの医師が「薬だけで患者さんを健康にするのは難しい。運動を勧めても、実際に行う患者さんは少ない」と考えています。運動施設との連携を希望する医療機関も多いため、パーソナルジムがメディカルフィットネスジムにリニューアルすることは、これからのスタンダードになる可能性が高いです。

まとめ

パーソナルジムがメディカルフィットネスジムにリニューアルすると、パーソナルジムの丁寧な運動指導の強みを活かしつつ、医学的エビデンスに基づいた安心・安全な運動指導が可能になります。これにより、既存の利用者だけでなく、新しい利用者層にもアプローチできるチャンスが広がるでしょう。

メディカルフィットネスジムの開業や運営にあたっては、医療的要素の取り入れ方や設備、人員など、多くの検討事項があります。事前に十分な情報収集を行い、準備を進めることが重要です。

株式会社BHMでは、パーソナルジムを経営されている方がメディカルフィットネスジムを新たにオープンする、または既存のパーソナルジムをメディカルフィットネス化する際のお手伝いをしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。


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