「メディカルフィットネス」は、医療的要素を取り入れたフィットネスのことです。これは、超高齢社会において、多くの人々が健康を維持するためのサポートとして注目されています。医療的な根拠に基づいた指導を行うため、特に専門知識を持った健康運動指導士や健康運動実践指導者の役割が重要視されています。

また、「運動型健康増進施設」や「指定運動療法施設」といった厚生労働大臣が認定する施設、そして医療法第42条に基づく「疾病予防運動施設」では、健康運動指導士や健康運動実践指導者の配置が必須とされています。

この記事では、安心で安全なフィットネスを提供するために欠かせない、健康運動指導士や健康運動実践指導者について詳しくご紹介します。

健康運動指導士・健康運動実践指導者とは?

健康運動指導士

健康運動指導士は、安全で効果的な運動プログラムを作成し、実践指導計画を調整する専門家です。医師が処方する運動療法指示箋に基づき、個々の体力や身体状況に応じて具体的な運動の種類や量を示します。運動中の安全性を重視しながら、適度な負荷をかけるため、体力水準や体組成の適切な評価が必要です。

昭和63年に厚生大臣認定の事業として始まった健康運動指導士の養成は、平成18年度に「公益財団法人健康・体力づくり事業財団」に移管され、カリキュラムが見直されました。これにより、生活習慣病や介護予防対策の一環である「特定健診・特定保健指導」においても、運動指導やスポーツ栄養指導ができるようになりました。

少子高齢社会において、生活習慣病のリスクが高い人々にも安全で効果的な運動指導が提供できるため、健康運動指導士のニーズはますます高まっています。フィットネス施設では、健康運動指導士の資格取得が求められる傾向にあります。

健康運動指導士の就業場所は、アスレチッククラブやフィットネスクラブが最も多いですが、最近では診療所や病院、介護老人保健施設や福祉施設などでも活躍する方が増えています。

出典:健康・体力づくり事業財団

出典:健康・体力づくり事業財団

健康運動実践指導者

健康運動指導士が健康プログラムの作成や指導計画の調整を行うのに対し、健康運動実践指導者は自ら運動の見本を見せながら実践指導を行う専門家です。運動プログラムを正しく実践しないと、効果が得られずにかえって身体状態が悪化することもあります。そこで、健康運動実践指導者が正しい知識と技能を持って、利用者にプログラムの内容をわかりやすく正確に伝え、実践へ導く役割を果たします。利用者への的確な指導力やコミュニケーション能力が求められます。

健康運動指導士と健康運動実践指導者のような安心安全な運動のプロフェッショナルがいるからこそ、利用者はフィットネス施設で安心して運動を続けられるのです。

健康運動実践指導者は学生の取得も多く、多岐にわたる分野で活躍しています。特にアスレチッククラブやフィットネスクラブなどでの活動が最も多いです。

出典:健康・体力づくり事業財団

健康運動指導士・実践指導者設置義務施設:どこで必須とされているか?

フィットネス施設において、健康運動指導士や健康運動実践指導者を配置することは必須ではありません。しかし、医学的エビデンスに基づいた指導を提供するメディカルフィットネス施設では、これらの専門家の配置が強く求められています。特に、安全性の高い「認定施設」として運営するためには、彼らの配置が不可欠です。

運動型健康増進施設、指定運動療法施設

厚生労働大臣が認定する「運動型健康増進施設」として認められるためには、いくつかの条件があります。その中の一つが「健康運動指導士およびその他の健康運動指導者等の設置」です。

「運動型健康増進施設」の中でも、運動療法に適した施設として「指定運動療法施設」の認定があります。認定されると、医師の指示に基づく運動療法を実施する際に、施設利用料が医療費控除の対象になるというメリットがあります。この認定条件の一つに「健康運動実践指導者が配置されていること」が含まれています。

より安全で安心なメディカルフィットネスを提供するためには、可能であればこれらの認定を受けることが望ましいです。そのためにも、医療と運動の専門知識を有する健康運動指導士や健康運動実践指導者の配置が必要不可欠です。

医療法第42条施設(疾病予防運動施設)

医療機関がメディカルフィットネス施設を運営するには、その施設が医療法第42条に定める「疾病予防運動施設」に認定される必要があります。認定されると、医療法人の収益業務として事業を行うことができ、いわゆる「医療法42条施設」となります。この認定にはさまざまな条件がありますが、その一つが「健康運動指導士(これに準ずる能力を有する者)の配置」です。

以上のように、医療機関がメディカルフィットネス施設を経営する際はもちろん、医療機関でなくても「運動型健康増進施設」や「指定運動療法施設」としてメディカルフィットネス施設を運営する場合も、健康運動指導士や健康運動実践指導者の配置は必須です。

設備面などの事情により「運動型健康増進施設」や「指定運動療法施設」の認定が難しいケースもあるでしょう。しかしその場合でも、健康運動指導士や健康運動実践指導者が専門知識に基づいた運動サービスを提供できることは、大きなメリットとなります。

需要急増!健康運動指導士・健康運動実践指導者

ここまでお伝えしたように、より安心安全なメディカルフィットネス施設の運営には、健康運動指導士・健康運動実践指導者の配置が欠かせません。これらの資格を保有するスタッフを優先的に採用したり、既存スタッフに資格取得を勧めたりする施設も増加するでしょう。では、どのようにして資格を取得できるのか、確認していきましょう。

健康運動指導士と健康運動実践指導者の資格を取得するには、一定の条件を満たした上で、「公益財団法人健康・体力づくり事業財団」が行う養成講座を受講するか、大学など指定の養成校で行う養成講座を受講し、認定試験に合格する必要があります。

健康運動指導士

2. 健康運動指導士の称号は、このようにして取得します。
出典:健康・体力づくり事業財団


「公益財団法人健康・体力づくり事業財団」の養成講座を受講するための資格には、以下のような項目が挙げられます。受講する講座によって必要な条件が異なるため、詳しくは財団の公式ウェブサイトをご確認ください。

  • 健康運動実践指導者の資格を保有している
  • 看護師、はり師、柔道整復師、理学療法士などの国家資格を保有している
  • 医師、保健師または管理栄養士の資格を保有している
  • 4年制大学以上を卒業している
  • 4年制体育系大学以上を卒業している、または卒業見込み

養成講座の申し込みから認定試験受験までの期間は、受講者の状況(必要単位数、受験時期など)によって異なりますが、4ヶ月から半年以上かかることがあります。

健康運動指導士の指定養成校の一覧については、こちらをご覧ください。

健康運動実践指導者

2. 健康運動実践指導者の称号は、このようにして取得します。
出典:健康・体力づくり事業財団

「公益財団法人健康・体力づくり事業財団」の養成講座を受講するための資格は、以下のいずれか一つに該当していることが必要です。詳しくは財団の公式ウェブサイトをご確認ください。

  • 体育系短期大学または体育専修学校(2年制)等を卒業している、または卒業見込み
  • 3年以上運動指導に従事した経験がある
  • アスレティックトレーナーなど、運動指導に関する資格を保有している
  • 看護師、管理栄養士、理学療法士など、保健医療に関する資格を保有している
  • 教員免許など、学校教育に関する資格を保有している

養成講座の申し込みから認定試験受験までの期間は、4〜5ヶ月となっています。

健康運動実践指導者の指定養成校の一覧はこちら

なお、健康運動指導士および健康運動実践指導者の資格は、5年ごとに登録更新が必要です。

健康運動指導士・健康運動実践指導者とは:メディカルフィットネス施設での役割と重要性のまとめ

医療と運動の専門知識を持つ健康運動指導士と健康運動実践指導者は、メディカルフィットネス施設の運営において非常に重要な役割を担っています。利用者一人ひとりに合わせた運動プログラムの作成や実践指導を行うことで、生活習慣病予防や介護予防など、お客様のニーズに合わせた細やかなサービスを提供できます。


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